ひとくちにヘルメットサービスといっても、その仕事は多岐にわたります。また2輪と4輪では選手の使用するヘルメットが異なるように、作業の内容も変わってきます。ヘルメットサービスの具体的な仕事について、鈴木に解説してもらいました。
「2輪でも4輪でも選手ひとりひとりの要求に応え、彼らの希望するようにヘルメットの調整を行う。それが僕たちの仕事になります。4輪ではヘルメットの外側をきれいにすることはもちろん、内装の微調整を行うこともあります。またドライバーの好みに合わせたシールドの装着、バイザー用のステッカーを貼ることも僕たちの仕事です。シールドに関して言えば、FNはひとりのドライバーで1日1枚新品、決勝の前にも新品に交換しますので、多い時は2日間で3枚も提供する場合もあります。それから捨てバイザーのセッティングも重要な仕事です。捨てバイザーを貼る方向が、ドライバーによってリクエストが異なるのです。例えばブノワ・トレルイエ選手は左→左→左、塚越広大選手は右→右→右、他にも右→左→右という選手もいるのです。それを、間違いなくやらなければなりません」
「2輪のモトクロスは運動量がすごいので、汗の量が多いのです。ヘルメットの重量が1.5kgだとすると、走行が終わると3kgになっていることもあります。ですからヘルメットの外側だけでなく、内装も洗ってきれいにすることもあります。シールドに関しては、4輪のような上部にスポンサーのステッカーが貼っていませんので、モトクロスやロードレースの2輪では使い回しができます。でもロードレースは、イベント期間中にサービスするヘルメットの数が膨大なのです。FNはシェアが100%ですが、ドライバーは13人です。一方のロードレースではアライのユーザーが40人〜50人います。しかもライダーは雨用のヘルメットが1個、ドライ用が2個、合計で3個というケースがほとんどです。するとイベント期間中に各ライダーがヘルメットを3個ずつ持ってきますので、それだけの数を限られた時間の中でチェックし、メンテナンスをするのは大変です」